契約書で書いておいた方がよい条文
こんにちは。マークjrです。
契約書を作るのは非常に面倒なものですよね。私もベンチャーで働いていた時から現在に至るまで、あらゆる契約書を作ってきましたが、色々と抜け漏れがあったなぁと思えることが多くありますが、その一方で、「これ入れといてよかった~」と思えることも最近ありました。
そこで今回は、契約書に「これは入れておいた方がよい条文」をいくつかご紹介しようかと思います。ちなみに、金額や支払日、納品日などの最低限の情報は省かせて頂きます。
作成するときに意識しておくこと
本題に入る前に、契約書に何を入れたらよいかがわからない人向けにアドバイスを。
契約書を作るときは、取引におけるあらゆるトラブルをシミュレーションしておくと、何を入れるべきかが見えてきます。
例えば、「支払い方法」でも、現金手渡しや銀行振込の他にも、小切手や手形というのもあります。これを明記していなかったために、振込で入金が来ると思っていたのに手形支払いをされてしまい、現金回収が数か月遅れてしまう可能性があります。
一連の取引の流れを一つずつ何度もシミュレーションして、隠れているトラブルの種を探してみるとよいでしょう。
その1 支払い遅延時の対応
特に遅延損害金の規定です。知ってるし、もう書いていると言われそうですが、私はここをしっかり書いていたために歯がゆい思いをしなくて済みました。
最悪、裁判になった際にこの記載がないと遅延損害金が取れなくなります。年利〇%、日割り計算といったことをしっかりと書いておきましょう。
その2 期限の利益の喪失
これも基本的には支払に関する規定です。債務者側に債務不履行や契約違反などがあった場合、直ちに債権を回収することができます。
「期限の利益」とは、簡単に言えば「支払期限までは支払う必要はないという時間的利益」のことです。例えば、毎月末日限りの20回分割払いという契約であれば、月末にキチンと契約で定められた金額を支払っていれば、支払側は翌月末まで支払いをする必要がなく、また、残存している支払いを一括で支払う必要もありません。
よって、支払いが一度でも遅れた場合、期限の利益を喪失すると規定しておけば、売掛金や貸付金を回収することができます。ただし、リース契約などで未到来の支払いについてはこの規定は使えませんので、次の中途解約や契約解除時の対応をご覧ください。
その3 中途解約時、契約解除時の対応
自宅やオフィスの賃貸契約、スマホの契約がわかりやすい例ですが、事業計画が変わるなど、様々な理由で契約が途中で終わることが多々あります。このような時の”後処理”についてもしっかりと規定しておくとよいでしょう。
賃貸契約やリース契約など一定の期間を定めている契約の場合であれば、残存期間分の賃料やリース料を違約金として設定したり、売買契約であれば、発生した仕掛分の費用を違約金として設定することが考えられます。
その4 瑕疵担保責任
2020年に民法と併せて商法も改正され、「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないこと」という表現に変わり、また、その補償内容も変更されたようです。
法人同士の取引は商法ですので、瑕疵担保責任の期間は原則6ヶ月ですが、双方の合意があれば、この期間を長くも短くすることも可能で、極論、瑕疵担保責任を負わないという内容にすることもできます。
なお、瑕疵担保責任は規定したにも関わらず、その期間を定めていなかったために商法の原則6ヶ月すら摘要できなかったという判例もあるので注意が必要です。
その5 費用負担は事細かに書く
費用負担のトラブルは不動産賃貸契約でよくあります。先日もバルコニーの排水管を誰が詰まらせ、どちらが修繕費を負担するのかでトラブルになったケースを聞きました。
不動産ではトラブルを100%網羅することは難しいですが、シャッターや窓ガラス、電球、壁紙などを表にしてまとめるとよいでしょう。ネットで探せば雛形もあるかと。
他の業種であれば、輸送費や保険料、リースアップ時の返却費用、税金などなど取引の流れの中で必要な費用をどうするかを一つひとつ検討しましょう。
おまけ
他にも細かいところですが、書いておいた方がよいことを箇条書きで。
- 消費税:書かないと相手は勝手に税込と判断して払ってきます。「消費税を付して払う」にしておけば税率が変わっても使えます。
- 振込手数料:塵も積もればなんちゃらですwww
- 仕様:細かく書くこと。地図などを使って範囲指定するのもよい。
- 所有権:持ち物には名前を書きましょうwww
- 所有権の移転:どのタイミングで相手または自分の持ち物になるか決めておきましょう。
- 競合避止:自分でもできるといってやられたらたまりません。
- 機密保持:むやみやたら情報を流されたら大変です。
- 反社条項:今のご時世、コンプラにはうるさいもので。。。
- 損害賠償:契約違反などで損害が出たときに請求するため。
- 弁護士費用:定めがないと請求できない可能性が高いそうです。
- 管轄裁判所:自分の最寄の地裁にしましょう。
- 甲乙丙・・・:わかれば順番何でも良いけど甲乙の入れ違いには注意!
- その他:基本的に作者側が有利な内容で作ってよし!
そうは言ってもやっぱり無理!!って方は・・・
法律の専門家に依頼してしまいましょう。契約と言えば弁護士のイメージですが、司法書士や行政書士も法律に精通しているのでスポット対応してくれます。内容量(作業量)にもよりますが、弁護士・司法書士なら3万円程度~、行政書士なら1.5万円程度~です。
ある程度作成できるけど自身がないという方は、リーガルチェックを依頼するという方法もあります。これなら前述の費用より若干安くなるイメージです。顧問弁護士がいれば大量でなければ大体月額費用に含まれてます。
とりあえず法律家に頼んでおこう
起業直後など、お金がもったいないと感じるかもしれませんが、トラブってから「ああしておけばよかった」と思っても後の祭りですので、専門家に一度見てもらう方がよさそうです。また、実際にトラブった時も弁護士は契約書に記載がないことまで裁判で請求することはしないようですので、ネットで色々な雛形を探してみたり、思いつく限りトラブルの対応を記載してみたりするとよいでしょう。
ただし、入れ過ぎたり、条件がきつ過ぎると相手の心象が悪くなるので柔軟に対応しましょう。そういえば私の元上司は、フォントサイズ6でA3両面にびっしりの契約書をその場で読んでハンコ押せって言ってきたっけwww
-
前の記事
全ての証券営業マンに贈る勇気の出る話 ~第1話 ビルオーナー一家〜 2020.10.15
-
次の記事
痛風になりました。 2020.11.30
コメントを書く