弁護士が1円も債権回収できなかったのに、素人が全額回収できた話 第1話(全5話予定)

ゆっくり経済新聞社の裏編集長のつば二郎です。
いきなりですが、実はわたくし、恥ずかしながら取引先に飛ばれた(破産された)経験があります。しかも3回も。どんだけ与信管理が甘いんだよ、と言われるとその通りですが、知っての通り私は業界きってのお人好しなので致し方ありません(全然致し方なくないですが)。
自分に甘く人にも甘くなった結果、自分には4桁万円の借金が残る一方、甘々な売掛金の回収を続けていたため、取引先には逃げられそうになるという状況に追い込まれました。
その金額もなんと4桁万円。
もはやドMとしか言えない状況ですが、壮絶な戦いの結果、最終的に自力で全額債権回収を成功させました。
そこでこの度、少しでも私のような思いをする人が減らせればと思い、恥を忍んでこの壮絶な債権回収の戦いを書いていくことにしました。
皆さんの周りにも一人くらいはお金を返さない、払わない不届き者がいるかもしれませんので、「そんな奴おらんわ」と言わずに面白半分で読んでいただき、反面教師にしていただければ幸いです。被害者が少しでも減ることを切に祈ってます。
今振り返ると、あぁすればよかった、こうすればよかった、というのが山ほどあります。タラレバと言われればそれまでですが、二度と使うかどうかわからないノウハウだけは蓄積されました。せっかくなのでその債権回収のノウハウをnoteで公開しております。よろしければこちらも是非ご覧ください。
noteはこちら
では、大失敗から紆余曲折を経て債権回収成功までの物語をお楽しみください。なお、この話は実録を基にフィクションを混ぜて再構成しておりますのでご了承ください。
<今回の主な登場人物>
- 私 ・・・建機リースで独立。筆者。
- A氏・・・サラリーマン時代から付き合いのある東北地方の建設会社の社長。BやCの親分的存在。
- B氏・・・A氏からの紹介でサラリーマン時代から付き合いのある建設会社の社長。
- C氏・・・B氏からの紹介で取引が始まった建設系の自営業。Bの会社の元社員。一番の厄介者。
騙された・・・
私は東京で建設機械のリースの仕事をしています。10年くらい前までは不動産仲介でサラリーマンをしていましたが、ずっと温めていたビジネスがあったので一念発起して独立しました。リースなので多額の初期投資が必要ですが、一度貸せばチャリンチャリンで儲けることができます。
独立して1年くらい経った頃、ある東北地方のお客さんであるA氏から顧客紹介をいただけることとなりました。どうやらA氏の取引先で同じ中学の先輩後輩の関係らしいです(子分みたいな感じらしい)。それは有難いとさっそく飛行機で飛んで紹介されたB氏に会いにいき、ぜひ導入したいということでリースを開始することになりました。
リース開始から数ヶ月後、B氏から顧客を紹介したいとの有難い申し出があり、B氏の会社の元社員であり自営業のC氏とも取引を始めました。Cからは数百万円の建設機械を買うからリースで資金提供して欲しいとのことだったので私はそれに応じました。後にこのC氏が一番の難敵になるとも知らずに・・・
C氏は見た目はいかにも建設業界って感じでしたが、B氏はC氏に仕事を振っているようだし、紹介なので何かあってもB氏C氏のお互いの信用問題があるから大丈夫だろうということで、高を括ってしまったのが大失敗でした。なんせA、B、Cは3人ともグルだったからです。
それから数ヶ月後・・・
私が独立してから2年くらい経った時でしょうか、Cからの入金がありませんでした。支払期日の翌日にソッコーで電話すると、10日後には入金があるからその時払うと言うので、甘々な私はその話を承諾してしまいました。
しかしまぁ当然と言えば当然ですが、資金繰りが怪しくなった人間から10日後に入金があるわけもありません。本来であれば突撃して金を払うまで帰らないスタンスで詰めるべきでしょうが、遠方ということや相手の見た目にビビッてしまった私は電話で時々催促するしかしてませんでした。
ガラスのメンタルでチキンハートな自分が恨めしい・・・(*´Д`)
そして更に数ヶ月が過ぎた頃、Cは電話口でこんなことを言いました。
C「払えと言われてもない袖は振れません。機材の所有権変更ですか?いえ、まだです。」
リースしていた建設機械は公道を走れるため、普通の自動車と同じで車検証がありますが、その所有権を私の名義にしていないというのです。
私「え、じゃぁその建機は誰の名義なんですか?車両はどこにあるんですか?名義変更はできる状態なんですか?」
C「いえ、売買代金の一部が払えていないので名義変更できないです。」
( ゚Д゚)ハァ?
私「え、建機買って名義変えるって言ったじゃないですか。じゃぁそのお金はどこいったの?」
C「他に支払があってそれに充ててしまいました」
( ゚Д゚)ハァ?(2回目)
私「え、建機を買うからってお金出したのに他で使うって意味がわからないのですが。普通返すものじゃないですか?もしかして私を騙したんですか?」
C「・・・結果的に騙したことになりますね~」
おいコラ!!!!詐欺やんけ(ꐦ°᷄д°᷅)
とブチ切れるも後の祭り。完全にやられてしまいました。まだ50万円も回収してないのに!
今となっては、私もこのタイミングで警察に行けばよかったと思います。
しかしこの時の私は、「まだ連絡がついているし、刑務所に入れてしまうと債権回収もできなくなる」と思ってしまい、話し合いで解決すればいいと思ってしまいました。
ですが、この失敗がかなり後になって効いてきますが、それはまだ先の話です。
聖人君主現る
さて、警察にも行かずグダグダな回収になってしまったわけですが、お金もないし回収も私の豆腐メンタルは息も絶え絶えでした。
結局、売掛金として民事として淡々と回収をしていこうと思っていたところに思わぬところから救いの手がやってきました。Aが仲裁を申し出てきたのです。Cは、冒頭の通り、Aの子分であるBの会社の元社員だったので面識もあったようです。
「なんか揉めてるそうじゃん。返済と持ってる資産全部出させるから一回来いや」
そんな電話を受け、私は東北地方にある串焼の店に行きました。そこでCから渡されたのは「固定資産課税台帳」。これは土地や建物の固定資産税が一覧になった紙ですが、何と親から相続された土地があるじゃないですか。しかも1,000㎡もある。
「あ、はぁ・・・」って顔しながら心の中では、
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
って感じでした。しかも仲裁人のAに「この土地、担保に出せ」って言われたCは「わかりました」って言う始末。しかもその場で、事前に用意していた債務額の確認と月10万の返済を記した書面にも署名捺印させることができました。Aがもはや聖人君主に見えてきました。
(゚∀゚)キタコレ!!
その場では「持ち帰って内容を確認してご連絡しますが、担保入れてもらうことになると思います」とだけ伝えて帰ってきました。そして固定資産税課税台帳に書かれている土地建物の登記情報を上げてみると、なんと例の土地の上に家が立っており、この家の所有者が別の親戚になっていてガッツリ住んでるじゃないか・・・
オワッタ(´・ω・`)
なぜ終わりかって?そりゃあ、いくら1,000㎡の土地でもクソ田舎で、法定地上権が付いたいわゆる「底地」なので、上に建ってる他人の建物を勝手に壊して宅地開発したりできないじゃないですか。仮にこの土地の所有権が取ったとしても、建物所有者に地代を請求して債権回収を図る必要があり、払わないならまた別途法的手段を取らなくてはならないので余計面倒なことになり兼ねません。
じゃぁ売るなり競売かけるなりすればいいじゃん、って思いそうですが、クソ田舎の上に借地権付き建物がある土地なんて値段が付かないどころか買い手すらいない可能性が高いです。
ということで、この段階では担保は難しいという判断になりました。なお、担保と言えば、抵当権や仮差押、所有権移転の仮登記といった方法が取られますが、それぞれの解説は別の記事で書こうと思います。(鋭意作成中)
そしてもう一つ。合意書にハンコ押してくるくらいなら「強制執行文言付の公正証書」を取ればよかったと反省してます。公正証書とは何ぞや?って人はこちらをご覧ください。
(鋭意作成中)
話を戻しますが、その後Cは1回返済はしてきたものの、結局ない袖は振れないと言ってまた返済が滞ることになります。
ちなみに、この頃、別の取引先が破産しています。破産第1号です。サラリーマン時代からお世話になっていて、ゴルフも結構行ってた仲だったのでショックでした。結局数十万円の未回収の売掛金は2,000円しか回収できませんでしたが、そこの社長がリースしてた機械の契約を引き継いでくれるよう、同業他社に話をつけてくれていたので、大きな損失にはなりませんでした。
聖人は、実は盗人に追い銭だった
そうこうしているうちに2020年になりました。
そう、コロナの季節の到来です。建設業界の私どもも例外なくダメージを受けました。
コロナが始まってすぐの頃、それまでちゃんと払っていたBからの支払いが止まりました。ガラスのハートの私は、例の如く、電話して催促するだけというショボい債権回収をしていました。リースなので機材を返してくれと言いましたが、まだ仕事で使ってるから返せないという始末。
金は払えないし借りてる物も返さないってどんなワガママやねん!!
まぁ所詮はこんな程度の奴らなんですよ。そんな奴らのために借金までして大金を投じた自分の与信管理が恨めしい・・・(*´Д`)2度目
そんな私にまたもや例の聖人君主が仲裁に名乗りを上げました。
「オレ(Aのこと)はBとCに仕事を依頼しているから、その売上から天引きしてオレが代わりに払ってやる。」
おぉマジか!( ̄人 ̄)カミサマ!ホトケサマ!Aサマ!
「だが、そのためには金が必要だからとりあえず、オレに700万払え。抵当が必要ならオレの家でも何でも入れたらいい。あそこにある家とあの家・・・」
( ゚д゚)ポカーン
とんでもない提案ですよね。ですが、コロナで完全に売上がなくなってメンタルどん底だった私にとっては神のお告げでしかなく、この提案を真剣に考えることにしました。その頃コロナの緊急支援や自分の保険の貸付で手許に現金がそれなりにあったからです。そして翌日また電話が来ました。
「で、いくら出せるん?700無理?じゃぁ400はどう?抵当?担保?お前、そんなこと言える立場かよ。」
( ゚д゚)ポカーン
2日前に抵当入れてやるって言ってたじゃん。何で金額半分になるの?そもそも何に使うんよ?言ってること滅茶苦茶じゃん。メンタルどん底の私でも変だと気付き、幸いその頃仕事をくれていた知人に相談したところ、止めた方がいいというのでお断りすることにしました。A曰く「あ、そう。それじゃぁオレはもう助けられないし、たぶん回収できないと思うよ」だってさ。
結局Aが描いたプランが本当に実現できたのかどうかはわかりませんが、どうやらBとCは他にも借金があり、Aはそこの回収の手助けもしていたようで私にも同じプランを提案してきたようでした。そのプランとは、私からAにお金を貸し、その金でリース料が未払いになっている機材をAが私から分割払いで買い取り、その機材を使う仕事をAからBとCに依頼して売上から借金返済分を天引きして、私に機材の分割払いと、3人分の借金返済分を払うという内容でした。どんだけ複雑なんだよ。
でも、よくよく話を聞いていると、普通にAがBとCに仕事を依頼して、売上の中からAが私に代位弁済をしてくれればいいだけなので、別にお金をAに貸す必要がないことに気付きました。どうやらAも月末の支払いに困っていたようなので、もしかしたらお金だけ取られて被害拡大してたかもしれませんね。
おかげで損失が幾分かは減らせたものの、結局BもCも売掛金未払いとなり、2人の親玉だったAも退場することになり、いよいよ回収手段がなくなってきました。
この後、私はいよいよ法的手段を試みますが、更に事態が悪化します。
次回「第2話 絶対に訴えてやる!!」
お読みいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか?私が様々な人間に振り回されている姿は自分のことながら滑稽に見えてしょうがないですね。
次回もお楽しみに。
続きはこちら(第2話)
今振り返ると、あぁすればよかった、こうすればよかった、というのが山ほどあります。タラレバと言われればそれまでですが、二度と使うかどうかわからないノウハウだけは蓄積されました。せっかくなのでその債権回収のノウハウをnoteで公開しております。よろしければこちらも是非ご覧ください。
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