中小企業の資金繰り ~その3~
こんにちは。マークjrです。
ついにその3まで来てしまいました。前回は少しクセのある資金繰りをご紹介しました(「その1」と「その2」もご覧あれ)。
最終回はほとんどクセしかなく、緊急事態用の資金繰りが登場します。
9.一部税金などのクレジット払い
緊急度:高 安心度:高 金利:高(ゼロで済むことも) 難易度:低 クセポイント:資金調達の目途がないと高金利のリボ払いになる
便利なクレジット払い。一部税金にも適用できます。
個人の住民税、固定資産税、自動車税、国民健康保険、不動産取得税などはクレジット払いが可能な自治体があります。
ただし、対応していない自治体もあるので事前に確認が必要です。また、最近では電子マネーで払えるケースもあるようです。
ヤフー公共料金: https://koukin.yahoo.co.jp/campaign/car/index.html
10.クレジットカードのキャッシング
緊急度:高 安心度:中 金利:高 難易度:低 クセポイント:金利が高い!!
みなさんお馴染みのクレジットカードに付帯しているキャッシング枠のことです。最大のメリットはATMに行けば審査なしで即日現金が手に入る点です。
金額は10万円~100万円程で、返済はクレジットカードの次回支払日となります。分割する場合はリボ払いとなります。金利は15%~18%です。
ちなみに次に紹介するカードローンもほぼ同じ内容ですが、金利が異なります。
クレジットカードを作る際に予めキャッシング枠を作っておけば審査なしで借りられるので、起業する際は予め作っておくといざという時に助かるかもしれません。
11.カードローン、ネット系キャッシング
緊急度:高 安心度:中 金利:高 難易度:低 クセポイント:金利が高い!!
前述のクレジットカードのキャッシングと内容はほぼ同じで、最大のメリットはATMに行けば即日現金が手に入る点です。
アコムやプロミスなどの消費者金融、銀行系やクレジットカード系のカードローンなどよくCMでやっていますね。
表向き限度額800万円、金利3%~などとなっていますが、実際に初回で借りられる金額は10万円~100万円程で金利は15%~18%で見ておいた方がよいでしょう。
なお法人向けカードローンなら金利分は損金計上できます。また信用情報にも借入ありとして残りますので銀行借入などに影響が出る可能性があります(ブラックではありません)。
ネット系キャッシングも同様に即日審査、即日融資が基本で、金利も同じくらいですが、返済が振込のみなので少し利便性に劣るかもしれません。
【参考記事】
12.在庫の一時売却と買戻し
緊急度:高 安心度:高 金利:高 難易度:高 クセポイント:信頼関係にキズをつける可能性も
仲間内がいないとできない技です。同業他社などに一時的に買い取ってもらい手数料をつけて買い戻す方法です。
いくらまで対応してくれるか、手数料はいくらか、いつまで買戻しまで待ってくれるかなどは、仲間との信頼関係で全て決まります。
当然ですが資金繰りが怪しいことを悟られますので相手は慎重に選びましょう。
どちらかと言えば、引き受ける側(お金を出す側)の方がリスクが高いと言えますので、応じる場合は必ずリスクコントロールができる状態にしておかなければなりません。
リスクコントロールについてはこちら。
13.売上(売掛金)の先払い
緊急度:高 安心度:高 金利:低 難易度:高 クセポイント:取引終了のリスクが高い
例えば、月末払いを15日に前倒しで払ってもらうことです。また、翌月の納品分の売上を予め前金でもらうことです。こちらも信用がものを言います。
前述の一時売却と買戻しとは違い、販売先が相手になりますので信用不安が確実にバレてその後の取引に支障をきたす可能性が高く、オススメしません。
14.支払(買掛金)の先延ばし
緊急度:高 安心度:中 金利:低 難易度:高 クセポイント:応じてくれない可能性が高い
例えば、月末払いを翌月15日に先延ばしにしてもらうことです。仕入代金や各種経費の支払いが対象ですが、こちらも信用がものを言いますが相手の都合もかなり絡んできます。
相手にこれを認めてもらうポイントは2つ。一つは「潰れたら1円も入らないかも」と脅すこと、もう一つは在庫などの資産を担保にできるかどうかです。
どちらにしろ完全に相手は信用不安を感じますので、取引ストップはほぼ間違いないでしょう。家賃であれば契約条件に寄りますが、大体2ヶ月滞納で強制的に解約になります。
どちらかと言えば、先延ばしする方がリスクが高いと言えますので、応じる場合は必ずリスクコントロールができる状態にしておかなければ大損します。
リスクコントロールについてはこちら。
15.税金の延納
緊急度:高 安心度:高 金利:中~高 難易度:高 クセポイント:ブラックリスト入り
ほぼ最後の手段です。とにかく駄々をこねるしかありません。そして分納や延納を認めてもらうしかありません。税務署にメッチャキレれるそうです。ブラックリスト入りが確定します。
16.銀行返済のリスケ
緊急度:高 安心度:中 金利:低 難易度:高 クセポイント:ブラックリスト入り
こちらもほぼ最後の手段です。事業再建の計画をきちんと説明しないと応じてくれません。ブラックリスト入りが確定します。
17.ファクタリング
緊急度:高 安心度:低 金利(手数料):高 難易度:中 クセポイント:悪徳業者が多い
ファクタリングとは手数料分を予め引いた金額で売掛金を買い取ってもらうことです。なぜ一番最後なのか。それは一番使わない方が良いからです。
ファクタリングは貸金業ですが、違法金利の悪徳業者が数多くいます。実際、私の取引先も悪徳業者に引っかかり、元々200万円足らずの借入に意味不明な金利(年利200%以上とか)がついて、数千万円の負債となっていました。
その為にまた金を借りて・・・というまさに負のスパイラル、闇金ウシジマくんの世界です。
ちなみに返済方法は業者によって異なりますが、二つあります。一つは売掛金を債務者が回収して返済する方法、もう一つは業者が直接取引先から売掛金を回収する方法です。後者の場合は取引先に完全にバレますので信用不安につながり、取引停止の可能性があります。
既にファクタリングで困っている方は一度司法書士や弁護士に相談してみることをオススメします。違法金利の場合は返済義務がなくなる可能性もあるようです。
もし使う場合は必ず貸金業の免許を持っている業者で行いましょう。取引先の与信などの審査は厳しくなりますが違法な金利にはなりません。
貸金業の免許を持ってるファクタリング業者はこちらでまとめています。
まとめ
3回に亘り、中小企業の資金繰りについてご紹介してきました。資金繰りは売掛金の回収遅延や予想外の出費など、あくまで緊急避難に限らなければなりません。常に赤字の状態の資金繰りは「資金繰り」とは言えません。それはただの延命ですので、抜本的に売上アップや利益率の改善に着手して黒字化を目指してください。
業者から借りる場合は必ず貸金業の免許を確認して借りましょう。くれぐれも闇金にはご注意を。
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